選考の改善

採用の歩留まりを改善する|通過率の見方と、どの段階で落ちているかの見つけ方

「応募は来ているのに、採用が決まらない」。この状態を数字で見るための道具が歩留まりです。応募から入社までのどの段階で候補者が減っているかが分かれば、媒体の予算を増やす前に、連絡の速さや面接の組み方といった自社で直せることに手を付けられます。この記事では、20〜300人の会社の採用担当向けに、歩留まりの計算式と見方、落ちている段階の見つけ方と優先順位の付け方、段階ごとの打ち手、そして集計を手作業にしない方法を整理します。業界の平均値のような数字は会社・職種・経路で大きく違うため、この記事では載せていません。自社の過去実績との比較を基準にしてください。

採用の歩留まりとは何ですか?どう計算しますか?

採用の歩留まりとは、選考のある段階から次の段階へ進んだ人の割合です。「次の段階に進んだ人数 ÷ その段階にいた人数 × 100」で計算し、必ず「どこからどこへ」を決めて使います。

採用歩留まり(通過率・転換率)
選考の隣り合う2つの段階のあいだで、次へ進んだ人の割合。書類選考の通過率、面接の設定率(通過連絡をした人のうち実際に面接に来た割合)、面接の通過率、内定承諾率などがこれに当たる。応募から入社までの全体の歩留まりは、各段階の割合を掛け合わせたもの、または入社人数÷応募人数に等しい。

「歩留まり◯%」と単独で言っても、どの段階の話か決まっていなければ意味を持ちません。たとえば応募100人・書類通過30人なら書類選考の歩留まりは30%、通過した30人のうち面接に来たのが24人なら面接の設定率は80%です。全体の歩留まりは各段階の掛け算なので、どこか1段階が半分になれば全体も半分になります。逆に、最も低い1段階を直せば全体が大きく動きます。

どの段階を、どう分けて見ますか?

「応募→書類通過→面接設定→面接通過→内定→承諾→入社」の6つの隣り合う区間で見ます。加えて、媒体(経路)別と職種別に分けると、どの経路の候補者がどこで落ちているかが分かります。

区間ごとに、落ちる原因の性質が違います。書類選考で落ちるのは「合わない人が応募している」か「基準が厳しすぎる」、面接設定で落ちるのは「連絡が遅い・日程調整に時間がかかる」、面接通過で落ちるのは「面接官の基準がそろっていない」か「求人票と実態が違う」、内定承諾で落ちるのは「条件のずれ・他社との比較・内定後の連絡不足」です。区間を分けて見ることで、原因の当たりを付けられます。下の表は、仮の数字で段階ごとの人数と歩留まりを並べた例です。

区間前の段階の人数(例)次へ進んだ人数(例)歩留まり落ちる原因の性質
応募 → 書類通過1003030%求人票と応募者のずれ、基準の厳しさ
書類通過 → 面接設定(実施)302170%通過連絡の遅れ、日程調整の往復
一次面接 → 次の面接219約43%面接官の基準のばらつき、求人票と実態の差
最終面接 → 内定94約44%最終判断の基準、決定の遅れ
内定 → 承諾4250%条件のずれ、他社比較、内定後の連絡不足
承諾 → 入社22100%入社までの期間の連絡、入社準備の遅れ

この例では全体の歩留まりは 2÷100=2% です。数字そのものより「どの区間が自社の過去実績や他の職種・経路より低いか」を見ます。

どの段階で落ちているかは、どう見つけますか?

「歩留まりが低い区間」ではなく、「その区間にいた人数 × 改善できそうな率の差」が大きい区間から手を付けます。率が低くても人数が少ない区間より、人数が多く率を少し上げられる区間のほうが増える人数は大きいからです。

手順は4つです。①各区間の人数と歩留まりを、直近3〜6か月分で出す。②自社の過去実績(前の期・他の職種・他の経路)と比べ、差が大きい区間に印を付ける。③印を付けた区間ごとに「その区間にいた人数 × 目標との率の差」で増える人数を計算する。④増える人数が大きく、かつ自社の運用変更で直せる区間(連絡速度・日程調整・評価基準など)を最初に直す。

上の表の例では、書類通過→面接設定の70%は、前の期が85%だったなら「30人 × 15ポイント=約4〜5人」の面接が失われている計算です。この区間は連絡の速さと日程調整の仕組みで直せるため、媒体費を増やす前に着手する価値があります。一方、応募→書類通過の30%は、応募者の質と求人票の問題なので、直すには求人票の見直しが必要で時間がかかります。求人票の直し方は 中小企業の求人票の書き方 を参照してください。

経路別に分けると、判断がさらに具体的になります。ある媒体からの候補者は書類選考でほとんど落ちるのに、別の媒体は面接まで進むが承諾率が低い、といった違いが見えると、媒体ごとに打ち手(求人票の書き方を変える、その媒体の候補者には条件を早めに伝える)を分けられます。

段階ごとに、どんな打ち手がありますか?

最も効果が出やすいのは「連絡の速さ」と「日程調整の往復を減らすこと」です。候補者は複数社を並行して受けており、返事が遅い会社から順に離れていきます。

書類通過 → 面接設定で落ちているとき

  • 通過連絡を応募当日〜翌営業日に送る。書類選考が担当者1人の全件読みになっているなら、基準を決めて下読みを分担するか、AI の下読みで担当者が読む時間を減らします。
  • 日程調整を1往復で終える。面接官の空き枠を先に押さえ、候補者に候補日を3つ以上まとめて示します。候補者・面接官・担当者の三者を個別にメールで往復させないことが要点です。
  • 「次の連絡はいつ来るか」を毎回伝える。連絡の間隔が空くこと自体より、いつ来るか分からないことが離脱を招きます。

面接 → 次の面接・内定で落ちているとき

  • 面接官の基準をそろえる。面接官によって通過率が大きく違うなら、面接評価シートの項目と尺度を決め、根拠を書いてもらいます。
  • 求人票と面接で伝える内容を一致させる。面接で聞いた仕事内容や条件が求人票と違うと、候補者側が辞退します。面接で必ず聞かれる質問は求人票に書き足します。
  • 前の面接の評価と文字起こしを、次の面接官が読んでから面接に入る。同じ質問の繰り返しは候補者の温度を下げます。

内定 → 承諾で落ちているとき

  • 条件は内定前に確定させ、内定と同時に文書で示す。「条件は後日」の期間が長いほど他社の内定と比べられます。
  • 内定後の連絡担当と頻度を決める。承諾まで、承諾から入社までの期間に誰が何を連絡するかを先に決めます。
  • 辞退理由を聞いて記録する。条件・他社・仕事内容・面接の印象のどれかを、次の期の打ち手に使います。

集計を、手作業にしない方法はありますか?

候補者の経路と選考ステージが自動で記録されていれば、区間ごとの人数は絞り込みで数えられます。シートで経路列を手入力している限り、表記ゆれで集計は崩れます。

スプレッドシートで歩留まりを出そうとすると、経路列の表記ゆれ(「ビズリーチ」「BizReach」「BR」)を揃え、ステージの変更日を別の列に手で書き、月ごとに集計し直す作業が発生します。集計に手間がかかると、見るのが四半期に1回になり、打ち手が遅れます。ATS(採用管理システム)では応募経路が取り込み時に自動で記録され、選考ステージの移動が履歴として残るため、「この求人で、この経路から、今月書類通過した人数」を絞り込みで数えられます。表計算からの切り替えの判断は スプレッドシート採用管理の限界 にまとめています。

ChordOne ATS では、8媒体(engage・Green・BizReach・doda・マイナビ転職・エン転職・Wantedly・YOUTRUST)の応募通知メールから取り込んだ候補者に経路が自動で付き、候補者台帳を求人・現在ステージ・応募経路で絞り込んでビューを保存できます。ダッシュボードには応募経路・部門・担当者別の月次の成約トレンドが表示されます。連絡の速さの面では、採用ホームに新着応募・メール未対応・日程未調整・判定結果未入力といった未対応タスクが件数で出るため、「書類通過→面接設定」の区間で止まっている候補者を毎朝確認できます。書類選考エージェントは求人票から基準の案を提案し、応募書類を下読みするので、通過連絡までの時間を短くする助けになります(合否の判断は担当者が行います)。詳しくは 機能一覧 をご覧ください。

よくある質問

歩留まりの目標値は、どう決めればよいですか?

業界の平均値より、自社の過去実績(前の期・他の職種・他の経路)との比較で決めます。「前の期の面接設定率85%に戻す」のように、自社で達成したことのある値を目標にすると、原因も打ち手も見つけやすくなります。

応募数が少なくて、歩留まりが計算できません。

月に数件の応募なら、率ではなく「落ちた人の人数と理由」を1人ずつ記録するほうが役に立ちます。3〜6か月分をまとめてから率を出せば、傾向は見えます。少ない応募だからこそ、1人を面接設定で失う損失は大きいので、連絡速度の打ち手は先に実行してください。

歩留まりを上げるために、書類選考を甘くしてよいですか?

書類通過率を上げるだけなら簡単ですが、面接官の時間を使って面接の通過率が下がるだけです。書類選考の基準は求人票の必須条件と一致させ、上げるべきは「通過した人を面接まで連れて来る率」と「内定を承諾してもらう率」だと考えてください。

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